学位
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博士(文学) ( 2002年12月 東京大学 )
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文学修士 ( 1992年3月 東京大学 )
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文学士 ( 1988年3月 東京大学 )
2026/06/03 更新
博士(文学) ( 2002年12月 東京大学 )
文学修士 ( 1992年3月 東京大学 )
文学士 ( 1988年3月 東京大学 )
地域紛争
テロリズム
多極化
ナショナリズム
テロリズム
多極化
Terrorism
ナショナリズム
人文・社会 / ヨーロッパ史、アメリカ史 / 東欧史 Modern History of Eastern Europe
人文・社会 / アジア史、アフリカ史 / アジア史 Modern History of Middle East
人文・社会 / 国際関係論 / 国際テロ研究、紛争の比較研究 International Terrorism Comparative Conflict Studies
東京大学 人文学研究科 西洋史学
1990年4月 - 1992年9月
国・地域: 日本国
東京大学 文学部 西洋史学
1988年4月 - 1990年3月
国・地域: 日本国
東京大学 文学部 西洋史学科
1982年4月 - 1988年3月
国・地域: 日本国
日本中東学界
東欧史研究会
新たなタイプの地域紛争の出現とグローバル総力戦の研究
研究課題/領域番号:26K03180 2026年4月 - 2031年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
佐原 哲也
配分額:18070000円 ( 直接経費:13900000円 、 間接経費:4170000円 )
長い20世紀のロシアと中東:抵抗者の視座から
研究課題/領域番号:24K03156 2024年4月 - 2028年3月
日本学術振興会 基盤研究(B)
長縄 宣博
担当区分:研究分担者
配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )
本研究は、ロシアと中東の絡まり合いが20世紀をどのように形作ってきたのか、そしてそれがこんにちの世界の危機にどのようにつながっているのかを究明する。ロシアと中東を結ぶ視角として、帝国や国民国家の垂直方向の統治と抵抗する人々の水平方向のネットワークに着目し、抵抗者が数十年かけて根・地下茎を張り巡らせた後に、国家が特定の土壌と気候で発芽するような動態の繰り返しとして20世紀を捉える。本研究は、「長い20世紀」論を提唱するものであり、帝国主義が駆動するグローバリゼーションの始まる1870年代から、ウクライナ戦争でグローバルサウスが前景化する現在までを射程に収める。
紛争影響地域における信頼・平和構築
研究課題/領域番号:20H05829 2020年11月 - 2025年3月
日本学術振興会 学術変革領域研究(A)
石井 正子
担当区分:研究分担者
配分額:69290000円 ( 直接経費:53300000円 、 間接経費:15990000円 )
ムスリムと非ムスリムの共存、異なるイデオロギーのムスリムどうしの関係性が政治争点化した紛争影響地域を対象に、コネクティビティをキーワードに研究を行う。紛争影響地域の人びとが越境して互いの経験を交換し、非ムスリムや域外のムスリムと信頼・平和を構築する諸相を検証する。検証にあたっては、東南アジア、南アジア、東アジア、中東、バルカン、アフリカの紛争影響地域でのフィールド調査をもとに実証的な比較研究を行う。検証を通じて明らかになったことを総合的に考察し、イスラーム圏のコネクティビティが形成する非ムスリムとの信頼・平和構築の戦略知を可視化し、新たな秩序形成の過程として明らかにすることを目的とする。
暴力による民主主義の20世紀:トランスナショナルヒストリーの試み
研究課題/領域番号:18H00697 2018年4月 - 2023年3月
日本学術振興会 基盤研究(B)
長縄 宣博
担当区分:研究分担者
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
シリアからウクライナへの戦争の連鎖やグローバル・サウスの台頭は、1870年代から始まる欧米の帝国主義で加速したグローバル化に特徴づけられる「長い20世紀」の終焉に伴う地殻変動である。本研究はこのような新しいパラダイムを構築すべく、中央ユーラシア近現代史を専門とする研究代表者が、バルカン半島・中東の民族問題、南アジアのイスラーム、そしてアメリカ合衆国の帝国性を専門とする研究分担者と議論を重ねた。そして、国際的なインパクトを持つ論考や論文集を発表し、国際的な研究者ネットワークを作る研究会を国内外で組織した。とりわけ2021年度には、アフガニスタンとウクライナの危機に即応する解説も発信した。
シリア内戦の比較研究―レバノン・旧ユーゴスラビアの内戦と戦後和解
研究課題/領域番号:18H03440 2018年4月 - 2021年3月
日本学術振興会 基盤研究(B)
黒木 英充
担当区分:研究分担者
配分額:16510000円 ( 直接経費:12700000円 、 間接経費:3810000円 )
シリア内戦の性格の考察に当たり、同様にオスマン帝国支配を経験し、複合的人口をもつレバノンと旧ユーゴスラビアでの内戦と比較した。共通・連関する問題として、戦下の国土のcantonizationと新たな経済システムの出現、内戦主体のコネクティビティと外部勢力の介入による代理戦争化、武器や民兵の相互移転、国内外への強制移住と帰還の困難さが(シリアに関しては将来的な)戦後和解を困難にしていること、などが挙げられる。内戦では非正規軍組織が軍事行動の中心となるが、3内戦に留まらず、イラク戦争やウクライナ戦争でも非正規軍が大きな位置を占めており、より広範な暴力拡散による「世界内戦化」の危険性も浮上している。
紛争の民衆的基盤と技術的基盤:原因論と解決・回避のための規範論
研究課題/領域番号:16KT0040 2016年7月 - 2020年3月
日本学術振興会 基盤研究(B) 基盤研究(B)
小野塚 知二
担当区分:研究分担者
配分額:18460000円 ( 直接経費:14200000円 、 間接経費:4260000円 )
基礎的な概念(「紛争の民衆的基盤」「紛争の技術的な基盤」「武器常習性」「武器リテラシー」「武器への道徳的な問い」等々)について、作業を進める上で必要な定義を施した。それらを踏まえて、紛争の民衆的と技術的基盤を踏まえた防止策を可能とする条件が、①社会的黙契としての武器リテラシーの有無および強度と、武器移転・武器調達の実効的な管理との相互依存関係のほかに、②武器に対して心理的・物理的に脆弱な人びとに対する適切な保護と、③「武器優位」を美的ではないとする規範が重要であることを解明した。こうした考察から、従来の紛争防止プログラムよりも実効性の高い紛争解決・防止の規範体系を提示するための条件を確定した。
国際テロリズムと第一次世界大戦
研究課題/領域番号:26370876 2014年4月 - 2018年3月
日本学術振興会 基盤研究 (C) 基盤研究(C)
佐原 哲也
担当区分:研究代表者
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
本研究は政治目標を達成する手段として暴力を用いる秘密結社をテロ組織と位置づけ、こうした組織の国境を越えた活動によって既存の国際政治の秩序が崩れ、大規模な変動が生じるという仮説から、第一次世界大戦前夜の黒手組、IMRO、CUPエンヴェル派、ARFという4つのテロ組織の活動を分析した。四つの組織は何れも民族主義団体であり、相反する政治目標を持っていたが、テロの実行に際してしばしば協力していたことが判明し、そのノウハウを共有することで行動様式が類似するようになったことが確認された。四つの組織の活動の結果、地域の政治秩序が崩壊し、第一次世界大戦の引き金となった。
第一次世界戦争と東部欧州周縁地域:新たな「ヨーロッパ危険地帯」の歴史的起源研究
研究課題/領域番号:22320150 2010年4月 - 2014年3月
日本学術振興会 基盤研究 (B) 基盤研究(B)
佐原 哲也, 前田 弘毅, 百瀬 亮司
担当区分:研究代表者
配分額:17940000円 ( 直接経費:13800000円 、 間接経費:4140000円 )
本研究で得られた主な知見は、以下の通りである。東部欧州辺境地域における第一次世界大戦は、歴史認識の点からも実態からも、1912年のバルカン戦争の延長であった。総力戦体制の構築と社会経済システムの変質は、1912年に始まったが、西欧諸国と比較してその完成は遅れ、総動員態勢の整備は不完全なままに終わった。その歪みが戦後の議会制民主主義への速やかな移行を阻害し、民政への軍の介入が一般化し、1920年代には何れの国々も権威主義体制へと移行することになった。研究の結果、戦争中に活動を活発化させた国際テロ組織が戦後の政治体制の権威主義化に大きな影響を与えたことが判明し、新たな研究課題に浮上した。
宗教、国家、マイノリティが織りなす環黒海跨境政治
研究課題/領域番号:21402012 2009年 - 2011年
日本学術振興会 基盤研究(B) 基盤研究(B)
松里 公孝, 間 寧, 黒木 英充, 秋山 晋吾, 新免 光比呂, 北川 誠一, 中島 崇文
担当区分:研究分担者
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
冷戦後出現した新しい地域である環黒海地域を研究するために、旧ソ連東欧研究者とトルコ研究者が協力した。環黒海地域は国民国家の伝統を持たず、トランスナショナル・アクター(TNA)が大きな役割を果たす。本研究は、TNAの中でも宗教組織(正教、イスラーム、反カルケドン派キリスト教)と跨境マイノリティ(ヴラヒ人、クルド人、メグレリ人、アルメニア人等)に注目し、従来の国家中心の地域認識に挑戦した。
バルカン地域を巡る国際関係の政治・経済的変動に関する研究
研究課題/領域番号:17203013 2005年 - 2008年
日本学術振興会 基盤研究(A) 基盤研究(A)
月村 太郎, 林 忠行, 飯田 文雄, 吉川 元, 久保 広正, 六鹿 茂夫, 大庭 千重子, 小川 有美, 定形 衛, 佐原 徹哉, 坂井 一成, 菅原 淳子, 戸澤 英典, 吉井 昌彦, 増島 建, 網谷 龍介, 阿部 望
担当区分:連携研究者
配分額:47060000円 ( 直接経費:36200000円 、 間接経費:10860000円 )
第1次世界大戦後に地域的認識として生まれてきた「東欧」は冷戦の終了後に東中欧と南東欧(バルカン地域)とに区分されてきた。当然ながら、2007年1月のルーマニア、ブルガリアのEU加盟以後はバルカン地域内でも分化が明らかである。今後のヨーロッパの安全保障上の優先順位は「西バルカン」(旧ユーゴ諸国からスロヴェニアを除き、アルバニアを加えた地域)であり、各国の政治動向もそれに沿っている。他方でルーマニア、ブルガリアはEU加盟後の経済的競争力強化が課題でありつつも、特にルーマニアはその地政的位置から独自の外交を意図している。最後にバルカン諸国間の地域協力は萌芽段階ながら見られている。
世界史における民族浄化の総合的研究
研究課題/領域番号:16320083 2004年4月 - 2007年3月
日本学術振興会 基盤研究 (B) 基盤研究(B)
佐原 哲也, 石田 勇治, 市野川 容孝, 山岸 智子, 薩摩 秀登, 丸川 哲史, 三沢 伸生, 関 哲行, 武内 進一, 大石 高志
担当区分:研究代表者
配分額:12400000円 ( 直接経費:12400000円 )
本研究では、民族浄化とは民族が国家主権の基礎となるという国民国家理念に起因する近代的現象であるとの仮説の有効性を検討した。三年間の研究期間の間に、ヨーロッパ、ユーラシア、中東、アフリカ、東アジアの幾つもの事例を比較研究し、仮説の有効性は大部分証明された。住民の強制排除、大量追放は、近代初期のヨーロッパに始まり、一九世紀から二〇世紀には東欧・バルカン、中東、旧ソ連、アジア、アフリカへと広がっていったことが確認されたからである。研究の結果、更に重要な発見もなされた。それは民族浄化の発生メカニズムの具体的な解明である。この発見は、ボスニア内戦を中心に、民族浄化を生み出した政治状況、社会的条件、イデオロギー、暴力の展開過程がつぶさに解明された結果であった。ボスニア内戦はユーゴスラヴィ社会主義連邦共和国の解体に起因し、これは一九八○年代のデタントと世界的な金融危機に始まり、一九八九年の東欧革命の余波をうけていた。余波は共和国毎の複数政党選挙という形をとり、選挙後、連邦政府の統合機能が失われ、憲法秩序が崩壊した。これに続いて、独立を目指す共和国が非合法な武装を開始し暴力の独占が崩壊した。こうして、住民の間に生命と財産の不安と恐怖を広がり、従来のアイデンティティが崩壊し、ジェノサイドの「記憶」に基づく危機意識が芽生えた。そして、民族主義者はこれを利用して権力を濫用し、民族浄化を展開したのである。その際、特に民兵の役割が重要であった。民兵は主に犯罪者から組織されていたが、民族解放運動の伝統を利用して自己正当化を図り、受け入れ可能な存在となった。結論として、民族浄化の防止には秩序崩壊時の暴力の統制、特に民兵の排除が中心的課題であることが明らかとなった。
バルカン諸国歴史教科書の比較研究
研究課題/領域番号:16320100 2004年 - 2007年
日本学術振興会 基盤研究(B) 基盤研究(B)
柴 宜弘
担当区分:研究分担者
配分額:16110000円 ( 直接経費:15000000円 、 間接経費:1110000円 )
本研究では、バルカン諸国の歴史教科書の記述を「バルカン」の地域史という枠組みから比較検討した。分析対象は第一にバルカン各国の中等教育で使用されている歴史教科書である。また、第二に現在バルカン諸国の歴史家および歴史教師か共同して進めているバカン諸国の共通歴史副教材の作成プロジェクトにも着目し、このプロジェクトの紹介と分析も進めてきた。研究成果の発表の機会としては、2005年11月と2007年11月にそれぞれ国際シンポジウムを開催し、バルカン諸国と日本を含めた東アジアでの歴史教科書の記述の動向か紹介された。また、これらのシンポジウムでは、バルカン諸国の共通歴史副教材の作成プロジェクトや日中韓の枠組みで進められている歴史教材の作成の動きなど、両方の地域で進行している歴史教育用の共通教材の作成計画に関しても注目し、自国史の枠を相対化するその成果と問題点を検討した。なお、2005年のシンポジウムの報告は既に柴宜弘編『バルカン史と歴史教育』(明石書店、2008年)でも公開している。
研究の結果、バルカン諸国の歴史教科書では未だに自国史の枠組みが強く残存し、社会主義後の1990年代に発行された歴史教科書の記述においてもその時々の政権の意向が反映される傾向が明らかにされた。また、共通副教材の作成という形で自国史の枠組みを越え「バルカン」という枠組みに基づいた歴史記述を形作る試みが着実に続けられていることと、そしてバルカンの歴史研究者の経験は日本を含む東アジア地域の歴史記述を作成する際にも有用であるとの認識が得られた。しかし、他方でバルカン共通副教材では歴史認識のすり合わせが困難であるため資料集以上のナラティブを伴う教材の作成ができなかったこと、採用に対して各国で反対の動きが出ていることも報告された。これらは自国史の相対化が困難であることを改めて証明しており、その克服に向けた更なる取り組みが必要であることを示していると言えよう。
世界史における民族浄化の比較研究
2004年 - 2007年
資金種別:競争的資金
新たな東地中海地域像の構築-民族・宗派対立と人間移動
研究課題/領域番号:16201049 2004年 - 2007年
日本学術振興会 基盤研究(A) 基盤研究(A)
黒木 英充
担当区分:研究分担者
配分額:36530000円 ( 直接経費:28100000円 、 間接経費:8430000円 )
地域間交流の問題は昨今盛んに議論されているが、東地中海地域は世界最古の文明を発達させ、古来活発な地域間交流を実現してきた。それは地中海という海域とその周辺地域における人間の空間的移動が極めて円滑であったことに拠っている。また、同地域では言語的・宗教的・文化的に多様な複合的性格をもつ社会が形成されてきたが、人間が文化的共同体の間を移動したり、その複合性を都市空間や文化活動で重層化したりする営みも見られた。この「明」の側面と、近現代においてパレスチナ問題を初め、バルカンの民族紛争、レバノン内戦、キプロス分割など、民族・宗派的対立もまたこの地域で進行してきたという「暗」の側面が、これまで別個に論じられてきたばかりで、両面を統合的に把握する努力が顧みられなかった。この欠を埋めて、民族・宗派対立問題に関する新たな解釈を打ち出し、人間の移動性がますます高まりつつある世界における文明交流の枠組み作りに資する知見を得るため、4年間にわたり、海外調査や国内での研究会、国際ワークショップを重ねた結果、次の点が明らかになった。
1) 移動する人間に対する「保護」の観念が、東地中海地域で歴史的に深く根付き、それが制度化されてきたが、19世紀半ば以降、これが換骨奪胎され、「保護」の主体が法的基盤を持たぬまま入れ替わったことにより、現代の対立状況が招来された。
2) 新たな「保護」のシステムを支える普遍的価値の創出が望まれる。これは現代の東地中海地域における民族・宗派問題の解決可能性を考慮するならば、一元的尺度による統治の実現をめざすのではなく、当該地域の複合的性格を反映した他者を包摂する弾力性に富んだ多元的な統治システムをめざすべきである。
今後は、1)をふまえたうえで2)の点について、多角的で学際的なアプローチを展開する必要があろう。本研究はその方向性を明確に指し示すことができた。
東欧の民族共産主義
2003年
資金種別:競争的資金
東欧・中央ユーラシアの近代とネイション
研究課題/領域番号:12301020 2000年 - 2003年
日本学術振興会 基盤研究(A) 基盤研究(A)
林 忠行
担当区分:研究分担者
配分額:41140000円 ( 直接経費:34000000円 、 間接経費:7140000円 )
本研究は、東欧および中央ユーラシアにおける近代とネイションをめぐる歴史と歴史意識を新しい視角から再検討すること、体制転換後の当該地域の歴史学を、とくに民族史の叙述に注目して再検討すること、さらにそれらとの関連を意識しながら現在におけるさまざまな民族紛争にも光を当てることを研究対象とした。
研究代表と分担者は上記の問題設定に沿って、それぞれの個人研究を進めるのと並行して、それぞれの研究対象地域を専門とする他の研究者、とくに若手研究者を主とする研究会を組織し、可能な限り多くの事例研究を蓄積することを目指した。より高度な今後の理論研究にこの研究が貢献するためには何よりも、研究メンバーの専門の範囲を超えて、事例研究の積み上げが欠かせないからである。またこうした共同研究に若手研究者を加えること、それらの若手研究者に本研究で収集される資料および北海道大学スラブ研究センターの既存の資料を利用する機会を与えることで、本研究の目的に沿った方向で若手研究者の研究を支援することにもつとめた。
定例研究報告会が5回、外国人研究者を招聘した国際シンポと公開シンポがそれぞれ1回ずつ開催され、そこでの報告は報告集として刊行された。多くの報告は構築主義的な視角からの事例研究であったが、その内容は多様で、いくつかの報告は構築主義そのものに再検討を迫るものでもあった。また、連邦国家解体後に現れた新興国家の公式史学などには顕著な本質主義の傾向が見られることも確認された。
近代東南欧におけるキリスト教、ムスリム、ユダヤ教のコミューナリズムと統合政策
1995年4月 - 1996年3月
奨励研究
地方統治と政治文化
研究課題/領域番号:07206102 1995年 - 1997年
日本学術振興会 重点領域研究
家田 修
担当区分:研究分担者
配分額:24100000円 ( 直接経費:24100000円 )
本研究では社会学的な観点にまで視野を広げた住民と地方政治エリートの意識調査を東欧三カ国(ハンガリー、ル-マニア、及びブルガリア)とロシア(タンボフ州とイルク-ツク州)で行った。このうちハンガリー、ブルガリア、そしてタンボフ州では住民への調査と地方政治エリートへの調査の両方を行った。これらの調査結果から、ロシア・東欧地域では共通して世俗的ないし個人的な価値に対して低い評価が与えられていること(裏返せば、強い信仰世界が存在していること)、新生の企業家層が地方のエリートとしてロシアやブルガリアでも登場していること、住民のエリート観は東欧とロシアでかなり異なること(ハンガリーでは信頼と監視の両面がある、ル-マニアとブルガリアでは政治家に一任する態度が強い、そしてロシアでは中央に対抗する地方エリートが望まれている)など、この地域に形成されつつある政治文化の骨格が判明した。
またロシアについては「ロシアの地方」と題した膨大な地方政治資料集を四巻刊行した。これは現代ロシア政治にとって極めて貴重な研究素材として内外の大きな注目を集めている。またハンガリーについても地方政治エリートのデ-ダベースを形成した。以上の資料はアンケート調査分も含めてすべて英語ないしロシア語で刊行され、国外の研究者が利用できるようになっている。こうした資料は変動期を扱った今回の調査研究における重要な成果である。来年度以降についてもこの重点領域研究を発展させる研究計画を進めている。今回の資料は今後の研究の飛躍を保証するものとなっている。
近代東南欧におけるキリスト教、ムスリム、ユダヤ教のコミューナリズムと統合政策
研究課題/領域番号:07710262 1995年
日本学術振興会 奨励研究(A)
佐原 徹哉
担当区分:研究代表者
配分額:900000円 ( 直接経費:900000円 )
本年度は、ブルガリア共和国ルセ市歴史古文書館及びギリシャ共和国テッサロニキ市のマケドニア歴史古文書館のニヵ所から、1860年代のオスマン地方行政に関する180点の文書史料の入手と、その校訂を行った。このうち、ブルガリアに関する史料の方は、ほぼ校訂を終え、刊行準備が進んでいる。ギリシャに関する史料は、分類を終え、順次校訂・刊行が行われることになる。この校訂作業と平行して、19世紀半のオスマン都市社会の構造を解明する作業も進み、その一部は「東欧史研究」に発表した論文「タンスィマート期の地方行政改革と都市自治体の形成」及びCSopreuk za Pyce,(ルセ市論集)に発表したO-moueiue uzmexcgy ocuyume u Ocmoncka agmumicw payve npez Tanzomat(タンズィマート期のオスマン権力とキリスト教徒共同体)ならびに、1995年12月のベオグラード国際歴史学会、セルビアとヨーロッパでの報告の形で公表された。
イスラム圏における人間移動と共生システムに関する調査研究
研究課題/領域番号:06041034 1994年 - 1996年
日本学術振興会 国際学術研究 国際学術研究
家島 彦一
担当区分:研究分担者
配分額:38400000円 ( 直接経費:38400000円 )
本プロジェクトは、広域的観点から、西は東欧・トルコから東は中国沿岸部までを調査対象とし、様々な特徴をもつ諸集団が移動・共存するイスラム圏の多元的社会において、共生システムがどのように機能しているかを、とくに聖者廟に焦点を当てて調査研究した。平成6年度はブルガリア・トルコの東地中海・黒海地域を重点地域とし、共生システムの実態について調査した。平成7年度は、ペルシア湾岸地域(イラン・パキスタン)を重点地域とし、主にヒズル廟に関する現地調査を実施した。平成8年度は、さらに東方に対象地域を広げ、中国沿岸部と中央アジア(新疆・ウズベキスタン)を中心に聖者廟などの調査を実施し、あわせてトルコとイランでヒズル信仰に関する補充調査を行なった。
共生システムの様相の解明を目指す本研究で中心的に調査したのは、伝統的共生システムとして位置づけられる聖者廟信仰・巡礼の実態である。とくにヒズル廟に着目し、地域社会の共生システムとしていかに機能しているか、どのように変化しつつあるかについて情報を収集した。その結果、ヒズル信仰がきわめて広域的な現象であり、多様な諸集団の共存に重要な役割を果たしていることが明らかになった。まず、トルコでの調査では、ヒズル信仰が広範に見られること、それが様々な土着的ヴァリエイションをもっていることが判明した。ペルシア湾岸地域では、ヒズル廟の分布と海民たちのヒズル廟をめぐる儀礼の実態調査を行った結果、ペルシア湾岸やインダス河流域の各地にヒズル廟が広範に分布し、信仰対象として重要な役割を担っていることが明らかになった。ヒズル廟の分布および廟の建築上の構造・内部状況を相互比較し、ヒズル廟相互のネットワークについてもデータを収集した。興味深いのは、元来海民の信仰であったヒズル廟が現在ではむしろ安産・子育てなどの信仰となり、広域地域間の人の移動を支える機能を示している点である。さらに中国では、広州・泉州などでの海上信仰の検討を通じて、イスラムのヒズル信仰が南宋時代に中国に伝わり、媽祖信仰に影響を与えたという推論を得た。また、中央アジアの中国・新疆にも広範にイスラム聖者廟が分布しているが、墓守や巡礼者に対する聞き取り調査を行った結果、ヒズル廟などと同様、聖者廟巡礼が多民族居住地域における広域的な社会統合の上で占める重要性が明らかになった。
聖者廟の調査と並行して、多角的な視点から共生システムの様相を調査研究した。一つは、定期市の調査である。イラン北部のウルミエ湖周辺における調査では、いくつかの定期市サークルが形作られていることが判明した。また、パキスタンではイスラマバ-ド周辺の定期市、新疆ではカシュガルの都市および農村のバザ-ルで聞き取り調査を実施し、地域的なネットワークの実態を把握した。他方、ブルガリアでは、聞き取り調査により伝統的な共生システムがいかに機能しているかについて情報収集を行い、宗教的ネットワークを中心として伝統的システムとともに、現在の共生システムがどのような状況にあるかについて興味深い知見を得た。キプロス・レバノン・シリアでは現在、宗教・民族対立をヨーロッパによる植民地支配の遺産ととらえ、かっての共生システムの回復を試みている様子を調査した。いま一つは、言語学的観点から共生システムをとらえるための調査で、多様な民族・宗教集団が共存するイスラエル・オマーン・ウズベキスタンで実施した。イスラエルでは、ユダヤ・イスラム・キリスト3教徒の共存に関する言語学的・民俗学的データを収集した。また、ウズベキスタンでは多言語使用状況の調査を行い、共和国独立後、ウズベク語公用語化・ラテン文字表記への転換といった政策にもかかわらず、上からの「脱ロシア化」が定着とはほど遠い実態が明らかになった。
以上のように、イスラム圏の異民族多重社会においては、多様な諸集団の共存を存立させる様々なレベルにおける共生システムが広域的な規模で機能している。とくに、代表的なものとして、聖者廟信仰・巡礼の実態が体系的かつ具体的に明らかになった。
比較ジェノサイド研究
明治大学
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
平和構築研究
機関名:明治大学大学院教養デザイン研究科
国際地域研究基礎論
機関名:明治大学政治経済学部
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