学位
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博士(法学) ( 1990年6月 北海道大学 )
2026/05/22 更新
博士(法学) ( 1990年6月 北海道大学 )
中国法
ジェンダーと法
LGBTQと法
台湾法
同性婚
権威主義体制と法
多様な性と法
人文・社会 / 新領域法学
人文・社会 / 基礎法学
北海道大学大学院法学研究科博士課程
1987年4月 - 1990年3月
北海道大学大学院法学研究科修士課程
1985年4月 - 1987年3月
国立台湾大学法律学院 客員教授
2022年4月 - 2023年3月
明治大学法学部 教授
2015年4月 - 現在
北海道大学大学院法学研究科 教授
1998年7月 - 2015年3月
北海道大学法学部 助教授
1991年1月 - 1998年6月
北海道大学法学部 助手
1990年4月 - 1990年12月
ジェンダー法学会
2025年12月 - 現在
民主主義科学者協会法律部会
1985年5月 - 現在
現代中国法研究会
日本現代中国学会
日本比較法学会
日本台湾学会
アジア法学会
現代中国学会 理事
2026年4月 - 現在
団体区分:学協会
現代中国法研究会 運営委員
団体区分:学協会
比較法学会 理事
団体区分:学協会
アジア法学会 理事
団体区分:学協会
人口減少と『性別平等』が同時進行する台湾 招待
鈴木賢
中国21 ( 64 ) 102 - 123 2026年3月
同性婚訴訟のこれまでとこれから――台湾法との比較の視点から
鈴木賢
法学セミナー ( 844 ) 55 - 62 2025年5月
台湾における「性別」規範の変容とその機制ーー「性別三法」改正と性別自己決定権問題に寄せて
現代中国 ( 98 ) 57 - 74 2024年9月
同性婚をめぐる憲法解釈ーー台湾法からの示唆
法の科学 ( 55 ) 151 - 162 2024年9月
LGBTQ+が自ら死を選ばなくても済む世の中へ
over ( 5 ) 16 - 25 2024年4月
LGBTQ+の権利保障をめぐる政治と法――台湾の経験に学ぶ 招待
法と民主主義 ( 578 ) 18 - 21 2023年5月
婚姻平等を達成した台湾の経験が示唆すること
ジェンダー法研究 ( 9 ) 59 - 77 2022年12月
台湾における婚姻平等化が意味するもの
同時代史研究 ( 15 ) 24 - 31 2022年9月
LGBTQ+にとっての婚姻権承認の意義――台湾における婚姻平等が日本に示唆すること
都市研究 ( 112 ) 73 - 81 2022年7月
比較法から吹く風は日本法を変えるのか——同性婚の法制化を例として
鈴木賢
法学セミナー ( 792 ) 20 - 26 2021年1月
香港版国家安全保全法は香港の何を変えるか
法学セミナー ( 789 ) 62 - 67 2020年10月
香港版国家安全保全法と『一国二制度』のゆくえ
ジュリスト ( 1549 ) 84 - 89 2020年9月
台湾における婚姻平等化からの示唆
法学教室 ( 742 ) 142 - 147 2020年1月
LGBT理解増進法の何が問題なのか
法学セミナー ( 824 ) 54 - 59 2023年8月
同性パートナーシップ制度で我慢すべきなのか?――「婚姻もどき」からの誘惑の罠――
over ( 4 ) 60 - 71 2023年3月
異性愛主義に空いた風穴――自治体パートナーシップ制度の広がりと婚姻平等への展望
女も男も ( 139 ) 21 - 26 2022年6月
台湾におけるふたつの『移行期の正義』と法
比較法研究 ( 82 ) 137 - 147 2021年12月
死にゆく『一国二制度』――香港で何が起きているか
法と民主主義 ( 562 ) 3 - 6 2021年10月
「台湾の大法官による憲法解釈制度の概要と運用」
琉大法学 ( 104 ) 75 - 90 2021年9月
『憲法二四条同性婚違憲論』に完全終止符を打つ
Over ( 3 ) 6 - 17 2021年3月
日本のLGBT+と婚姻平等化という課題
《Over》 ( 2 ) 30 - 41 2020年1月
パートナーシップ制度を全国の自治体へ広げる活動について
TAKACO
ジェンダー法研究 ( 6 ) 55 - 63 2019年12月
LGBT+の生きづらさの根源にあるもの
《Over》 ( 1 ) 44 - 53 2019年5月
〈第 20 回学術大会特別企画〉国際公開シンポジウム 台湾における婚姻平等化への道 招待
3 - 4 2018年10月
パートナーシップ制度の現状、そしてその先にあるもの 招待
《月刊自治研》60巻705号 43 - 52 2018年6月
[特集:習近平2期目の中国と日本]鄧小平時代の終焉と毛沢東なき毛体制への退行:中国の憲法改正 招待
WEBマガジン《nippon.com》in-depth 2018年6月
鄧小平憲法から習近平憲法への転換 招待
《法律時報》90巻5号 1 - 3 2018年
LGBTの権利保障にとっての地方自治体の役割 招待
《議員NAVI》政策の核心をつかむ 明日の論点 2017年11月
アジアで一番乗り、台湾で同性婚実現へ 招待
《法律時報》89巻9号 4 - 6 2017年8月
鈴木 賢
岩波書店《世界》897号 ( 897 ) 34 - 37 2017年7月
鈴木 賢
《法律時報》89巻5号 89 ( 5 ) 95 - 99 2017年5月
台湾における性的マイノリティ『制度化』の進展と展望 招待
《比較法研究》78号 231 - 246 2017年
中華人民共和国 招待
初宿正典・辻村みよ子編《新解説 世界憲法集》第3版 359 - 389 2014年
中国的法観念の特殊性について――非ルール的法のゆくえ 招待
《国際哲学研究》別冊2 07 - 20 2013年
鈴木 賢
《新世代法政策学研究》第18号 18 293 - 305 2012年11月
鈴木 賢
《東亜》535号 ( 535 ) 32 - 41 2012年1月
中国における個別事例を通じた規範変革運動の展開とその意義――中国法のあらたな段階 招待
長谷川晃編《法のクレオール序説》 263 - 281 2012年
從法律之變遷看中國式威権體制之走向 招待
127 - 137 2012年
台湾における『憲法の番人』――大法官による憲法解釈制度をめぐって 招待
今泉慎也編《アジアの司法化と裁判官の役割》 23 - 36 2012年
中国の放送メディア法制――党/政府の喉舌とビジネス化のアンビバレンス 招待
鈴木 賢
《比較法研究》73号 ( 73 ) 236 - 248 2011年
中国における個別事例を通じた法変革運動の展開――中国法の新たな段階 招待
鈴木 賢
《法の科学》42号 ( 42 ) 96 - 104 2011年
中華人民共和国 招待
初宿正典・辻村みよ子編《新解説 世界憲法集》第2版 347 - 375 2010年
試論・東アジア法系の成立可能性 招待
今井弘道編《発展する東アジアと法学の課題》 59 - 71 2008年
裁判規範としての国家法と民間社会規範の緊張関係――中国法の特徴的構造 招待
孝忠延夫・鈴木賢編《北東アジアにおける法治の現状と課題》 117 - 139 2008年
台湾海峡をはさむ法律戦――中国『反分裂国家法』の定位をめぐって 招待
深瀬忠一ほか編著《平和憲法の確保と新生》 171 - 194 2008年
中国の親子法の現状 招待
野田愛子・梶村太市総編集《新家族法実務体系》第2巻 125 - 137 2008年
中国における家族法改正の動向 招待
野田愛子・梶村太市総編集《新家族法実務体系》第1巻 198 - 218 2008年
台湾のアソシエーション法――民主化との相互作用と国際的孤立のなかで 招待
《比較法研究》69号 78 - 82 2007年
中国法の思考様式――グラデーション的法文化 招待
安田信之・孝忠延夫編《アジア法研究の新たな地平》 321 - 337 2006年
中国に地殻変動は生じているのか――政治・法制度変動の動態要因をさぐる 招待
鈴木 賢
《世界》 ( 736 ) 316 - 324 2005年2月
中国の法曹制度 招待
広渡清吾編《法曹の比較法社会学》 341 - 384 2003年
現代中国法にとっての近代法経験 招待
《社会体制と法》第04号 15 - 27 2003年
外来法支配の終焉――法律家の変容に着目して―― 招待
《アジア遊学》48号 54 - 66 2003年
台湾の法曹制度 招待
広渡清吾編《法曹の比較法社会学》 221 - 256 2003年
試論・東アジア法系の成立可能性 招待
《北大法学論集》53巻03号 900 - 911 2002年
中国における市場化による『司法』の析――法院の実態、改革、構想の諸相―― 招待
小森田秋夫編《市場経済化の法社会学》 239 - 284 2001年
中国における民事裁判の正統性に関する一考察――民事再審制度を素材として―― 招待
中国の経済発展と法 369 - 409 1998年
中国のイスラーム法 招待
アジアにおけるイスラーム法の移植 39 - 103 1997年
現代中国法入門 (第10版)
鈴木, 賢, 宇田川, 幸則, 徐, 行, 高見澤, 磨( 担当: 共著)
有斐閣 2025年12月 ( ISBN:9784641048379 )
台灣同婚法的誕生與演進(台湾華語)
鈴木賢著, 李明峻訳( 担当: 単著)
印刻文学生活雑誌出版 2025年10月 ( ISBN:9789863878711 )
台湾同性婚法の誕生――アジアLGBTQ+燈台への歴程
鈴木賢( 担当: 単著)
日本評論社 2022年3月
要説 中国法
( 担当: 共著 範囲: 中国共産党と法)
東京大学出版会 2017年9月
世界の人権保障 中国部分
中村睦男・佐々木雅寿・寺島壽一と共著( 担当: 共著)
三省堂 2017年8月
新解説世界憲法集
初宿, 正典, 辻村, みよ子, 江島, 晶子, 野坂, 泰司, 松井, 茂記, 田近, 肇, 毛利, 透, 山元, 一, 奥田, 喜道, 鈴木, 賢, 溝口, 修平, 水島, 玲央( 担当: 共著 範囲: 中国)
三省堂 2025年9月 ( ISBN:9784385313122 )
LGBTQ+は中国でどう生きているのか――生存空間を模索する当事者たちの姿
兪敏浩編( 担当: 共著)
晃洋書房 2023年4月
中華人民共和国
( 担当: 共著)
三省堂 2020年9月
権力に従順な中国的『市民社会』の法的構造
石井知章, 緒形康と共著( 担当: 共著)
勉誠出版 2017年4月
現代中国法入門[第7版]
高見澤磨・宇田川幸則氏と共著( 担当: 共著)
有斐閣 2016年3月
地方都市にも性的マイノリティが生きる空間をつくる
栗原彬との共著( 担当: 単著)
岩波書店 2016年
文化大革命の遺制と闘う――徐友漁と中国のリベラリズム
( 担当: 共著)
社会評論社 2013年3月
中国にとって法とは何か――統治の道具から市民の権利へ―― 【叢書:中国的問題群3】
高見澤磨と共著( 担当: 共著)
岩波書店 2010年9月
中国物権法 条文と解説
崔光日・宇田川幸則・朱曄・坂口一成と共訳( 担当: 共著)
成文堂 2007年6月
中国で近代法はなぜ拒絶されるか――無罪推定原則をめぐって――
( 担当: 単著)
北大図書刊行会 2000年
台湾における外国籍同性パートナーとの婚姻制限問題の顛末ーー日本法への示唆を求めて
法律論叢 96 ( 4・5 ) 1 - 24 2024年1月
2023 Asia book award
2024年2月 the Korea Publishers Society(KOPUS)
第29回連合駿台会学術賞(社会科学部門)
2024年1月 連合駿台会
第1回日本台湾学会学術賞
2023年5月 日本台湾学会
第35回尾中郁夫家族法学術賞
2023年5月 日本加除出版
第4回家族法学術奨励賞
1992年5月 日本加除出版
1993年度 発展途上国研究奨励賞
1993年 アジア経済研究所
性別規範の変遷から再構築する華語文学史
研究課題/領域番号:25H00468 2025年4月 - 2030年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
濱田 麻矢, 鳥谷 まゆみ, 小浜 正子, 田村 容子, 大橋 史恵, 藤野 真子, 海老原 志穂, LIN LITING, 松村 志乃, 三須 祐介, 早川 太基, 鄭 洲, 鈴木 賢, 星 泉, 張 文菁, 津守 陽
配分額:21580000円 ( 直接経費:16600000円 、 間接経費:4980000円 )
アジアにおける《多様な性》――英語ジェンダー二元論を超える試み
研究課題/領域番号:23K17287 2023年6月 - 2027年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
青山 薫, 鈴木 賢, 日下 渉, 北村 由美, 伊賀 司, 石田 仁, 小田 なら, 林 貞和
配分額:25740000円 ( 直接経費:19800000円 、 間接経費:5940000円 )
東アジア・東南アジアでのLGBTの実態とその権利擁護に向けた実証的・理論的考察
研究課題/領域番号:20K20508 2020年7月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(開拓)
吉田 邦彦, 瀬名波 栄潤, 鈴木 賢
配分額:20020000円 ( 直接経費:15400000円 、 間接経費:4620000円 )
LBGTの議論は欧米中心的に進められているが、本研究は第1に、理論面でそれを塗り替え、第2に、その各論的・実務的問題に即して差別実態を明らかにし(具体的には、婚姻・家族形成、社会的暴力(歴史的不正義)・家庭内のDV、性別を巡る諸問題(職場差別、社会保障法の差別など))、打開策を追求し、第3に、欧米と東アジア・東南アジアとの比較から、今後の変革のあり方を展望することを目的とするものである。その際に、台湾やカンボジアなどの状況が比較的リベラルであることに鑑みて、その由来を明らかにし、状況が類似する日韓はもとより、東アジア・東南アジアの状況の底上げを図ることを目指している。
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2年目である今期は、第1課題は、理論研究としては、LBGTの動きの中心である欧米、とくにアメリカ法学での同性婚姻法の変遷を巡って、豊かな議論とともに、混沌とした理論的基礎付けに向き合い、フェミニズム法学や(批判)人種法学との異同に注視して、状況分析・整理に努めた(継続中)。第2に、その各論的・実務的問題としては、札幌地裁で同性婚を認めないのは違憲とする判決が出て(但し賠償請求は棄却)、更にその後の性的平等化の立法を巡る草の根の活動にも留意した。とくにこの期には、判例研究を行い共同研究者間で意見交換し、それが公表された。第3に、欧米と東アジア・東南アジアとの比較法であるが、とくに台湾やカンボジアなどの状況が比較的リベラルであることに鑑みて、その由来を明らかにし、その状況把握・実践的方策を模索した。しかし、これらの隣国は、コロナ禍で欧米以上に訪問は難しく、難航している(前年度に行ったカンボジア訪問も、海外出張承認が得られず、自己負担を強いられている)。これらの諸国でもコロナ感染がその後広まっており、予断を許さない状況である。その分、欧米(とくにアメリカ合衆国)の研究者との交流を深めている。
国際比較研究拠点の形成に向けた東アジアにおけるLGBT法政策の総合的研究
研究課題/領域番号:19H01436 2019年4月 - 2023年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
谷口 洋幸, 國分 典子, 松井 直之, 山下 梓, 鈴木 賢, 廣江 倫子, 谷口 真由美, 金 成恩
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
中国の権威主義体制下における法の役割と限界についての比較研究
研究課題/領域番号:19H01407 2019年4月 - 2023年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木 賢, 清末 愛砂, 宮畑 加奈子, 徐 行, 櫻井 次郎, 宇田川 幸則, 岡 克彦
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
新型コロナウイルスの世界的流行は権威主義体制のもとにおける法の使われ方の特徴を改めて現代に可視化させた。中国では法の内と外にその特徴を見ることができる。法の内側の特徴としては、民法典に現れた政治イデオロギー、パンデミックなどの緊急時における国との締約強制、家族法に復活した父権主義的規定、公益訴訟という名の独裁権力保持のための新たな制度など枚挙にいとまがない。しかし、より特徴的なのは法をまったく媒介としないさまざま強力な強制措置の発動である。中国のコロナ対策はいわゆる「ゼロコロナ」と呼ばれるもので、徹底的なロックダウン、禁足令、ローラー作戦的PCR検査、野戦病院への強制収容を特徴とする。これらの強制措置はほとんど法的根拠を背景とせず、それを問題にしようとする言論はすぐさま消去され、事後的にも法的に問題化する余地のないものであった。まさに文化大革命時の「無法無天」の再来を思わせるものであった。
権威主義体制から民主化をとげた韓国、台湾、そしてそれとは一線を画すシンガポールでも、権威主義時代の痕跡がコロナ対策にもみられなかったかが検証されるべきである。例えば、台湾は2022年の初めまでは徹底した水際対策により世界的にも異例に少ない感染者と死者数でコロナ対策に成功した国に数えられる。しかし、そこで援用された方法は違反者に対する厳しい罰金をおもな手段としており、非常時であり、法的根拠にもとづくものであったとしても、その手法には権威主義時代の痕跡を見ることができる。しかも国民的にはこのような手法に対する支持が高い。詳細な比較研究は今後の課題である。
台湾・中国におけるLGBTの権利保護法制整備への道―――日本との対比から
研究課題/領域番号:17K18544 2017年6月 - 2021年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
鈴木 賢
配分額:5850000円 ( 直接経費:4500000円 、 間接経費:1350000円 )
台湾は2019年5月24日、アジアでは初めて同性間に婚姻を成立させるための法を施行、2021年5月末までに6098組の同性カップルが婚姻した。本研究では日本同様、同性愛者を法的な空間から追放してきた台湾が、なぜアジアで初の同性婚法をもつに至ったのか、その要因を探求し、台湾が辿った道の特徴を分析した。
その結果、民主主義と市民社会の成熟、ジェンダー平等の実現、定期的な政権交代、健全な違憲審査制度、自由、人権の価値と台湾アイデンティティとの結びつきなどのマクロ的な要因があることが判明した。逆に言えば、これらがことごとく欠けている中国では、婚姻における性的指向による差別を解消することは困難である。
中国における習近平時代の労働社会――労働運動をめぐる法・政治・経済体制のゆくえ
研究課題/領域番号:16H01898 2016年4月 - 2020年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
石井 知章, 戸谷 義治, 山下 昇, 梶谷 懐, 鈴木 賢, 阿古 智子, 早川 智津子, 藤川 久昭
配分額:19240000円 ( 直接経費:14800000円 、 間接経費:4440000円 )
中国における労働運動は、西側の市民社会のように、それ自体として独立かつ自立した社会において展開してきたのではなく、むしろ社会主義市場経済という法、政治、経済の制度的枠組みに大きく依存しつつ、展開されてきた。この労働運動がこれらの制度的枠組みと党=国家システムという外的環境に依存していることを具体的に明らかにすべく(1)中国からの研究者や活動家などを招聘して、ワークショップ、講演会を開催し、(2)明治大学現代中国研究所を研究拠点として、研究組織内部での研究会での中間的成果の交換、ディスカッションを通して、官製労組(総工会)と労働NGO との具体的関係性、中国の労働社会の実態を浮き彫りにした。
同性愛・性同一性障害の東洋家族紛争--欧米との比較による脱構造主義的分析
研究課題/領域番号:16K13325 2016年4月 - 2019年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
吉田 邦彦, 水野 紀子, 鈴木 賢
配分額:3250000円 ( 直接経費:2500000円 、 間接経費:750000円 )
同性愛者(LDBT)の家族法上の問題は、その婚姻・親子関係の可否をはじめ、雇用・社会保障・相続等の問題があるが、東アジアでは、台湾を別として、日本・韓国・中国共に、性同一性障害者を中心とする議論以外にはあまりなく、欧米の状況と比較すると、かなり遅れた状況にある。
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本研究では、その克服の方途を探ることはもとより、さらに、LDBTに適合的な家族法、さらにはその救済に適合的な批判的な基礎理論として、従来の支配的な批判理論としての各種のフェミニズム法学理論との比較で、いかなる新たな展開になるのかを考える。その際、構造主義的なフェミニズム批判、さらには単純な新古典的な自由主義(市場主義)批判に契機を探る。
中国における差別問題の「発見」と法的対応――社会実態、理論、制度、運用上の特徴
研究課題/領域番号:15H03285 2015年4月 - 2019年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木 賢, 小林 昌之, 高見澤 磨, 宇田川 幸則, 阿古 智子, 佐藤 千歳, 石井 知章, 李 妍淑
配分額:17030000円 ( 直接経費:13100000円 、 間接経費:3930000円 )
中国における差別問題はきわめて多岐にわたって存在し、それが公的制度によって構造化されている点に特徴がある。その代表的な例が戸口、性別/性指向、障害の有無による差別である。中国の差別問題の特徴は以下の諸点に見いだせる。
(1)「違い」によって区別的扱いをすることを当然視し、「差別」とは認識しない。(2)「違い」を個人的なレベルの問題に還元し、制度的、構造的な現象とは捉えない、(3)被差別者の主体性を承認する視点が弱く、上からの恩恵的な配慮をスローガンとして叫ぶにとどまる。(4)差別を法的ルートを通じて具体的に救済する仕組みが有効に機能していない。
台湾/中国における性的マイノリティをめぐる法環境の構造――日本法への示唆を求めて
研究課題/領域番号:26590011 2014年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
鈴木 賢, 許 秀雯, 黄 詩淳
配分額:3250000円 ( 直接経費:2500000円 、 間接経費:750000円 )
性的マイノリティ法制度化における不可視化モデルに属していた台湾では2000年以降、権利保障モデルへの転換が始まり、2015年の自治体における同性パートナー戸籍註記制度を経て、2017年5月の司法院大法官の憲法解釈で同性間に婚姻を法的に承認することで決着をみた。中国では依然として不可視化モデルへの固着化が続き、変転の兆しが見えていない。台湾のモデルチェンジは、①西洋近代的価値(リベラリズムや人権、立憲主義)に対する若い層を中心とする強い国民的コミットメントがあること、②それが中国に対する台湾意識の背景を支えていること、③女性運動に先導されたLGBTによる社会運動の興隆などによることが判明した。
漢字文化圏におけるわかりやすい法情報共有環境の構築
研究課題/領域番号:23220005 2011年4月 - 2016年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
松浦 好治, 鈴木 賢, 宇田川 幸則, 樋口 範雄, 姜 東局, 岡 克彦, 外山 勝彦, 小川 泰弘, 角田 篤泰, 増田 知子, 中村 誠, 佐野 智也
配分額:211380000円 ( 直接経費:162600000円 、 間接経費:48780000円 )
本研究は、日中韓台・漢字文化圏の法情報について、深い相互理解と比較法研究の推進を目的とし、次の成果を得た。法情報共有の環 境整備として、各国研究者と共同で、中韓台法令とその英訳の対訳約14万文、英文官報の画像と日英対訳約16万文を集積するとともに、4法域法令用語標準対訳辞書の項目候補約13,000語の検討を推進した。また、日本法令の機械翻訳や文書構造化の手法を開発した。一方、分かりやすい法情報の提供事例として韓国とEUを調査するとともに、特定分野の理解を促進する法情報パッケージLawPackの例を構築した。また、地方自治体例規約98万本を蓄積・横断検索するシステムeLenを開発した。
台湾における刑事司法改革の比較法的研究――捜査取調の適正化を中心に
研究課題/領域番号:23653001 2011年 - 2013年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
鈴木 賢, 坂口 一成
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
日本同様、自白偏重の傾向がある台湾では、1998年に刑事訴訟法が改正されて、警察、検察での取調過程に録音・録画を義務づける制度が導入された。取調全過程録音(ないし録画)はすっかり実務に定着し、今日では当たり前のことになった。しかし、義務違反が根絶されたわけではなく、義務に違反した取調調書の証拠能力について訴訟で争われる事例もなくなってはいない。その意味で義務違反の取調調書をいかに扱うかが今後の焦点となっている。他方で取調過程の可視化が自白を困難にさせていることは確認できず、この制度の導入によるデメリットも見つからなかった。台湾法の実践は日本の進むべき道を示唆していると考えられる。
支配的地位の濫用規制と不公正取引の規制が切り開く東アジア競争法の新しい地平へ
研究課題/領域番号:22243004 2010年4月 - 2015年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
稗貫 俊文, 坂口 一成, 板谷 淳一, 栗田 誠, 林 秀弥, 中山 武憲, 土田 和博, 鈴木 賢, 川島 富士雄, 須網 隆夫, 向田 直憲, 瀬領 真悟, 岡 克彦, 厚谷 襄児, 今井 弘道, 望月 宣武, 岡本 直貴
配分額:43030000円 ( 直接経費:33100000円 、 間接経費:9930000円 )
本研究は、東アジア(中国、台湾、韓国、日本)において競争法の新しい地平が開かれつつあることを示した。東アジア競争法は、国有企業、財閥、官製談合など市場経済の形成の障害となる歴史的残滓に対するとの戦いを課題としている。他方で、ソフトウェア、IPビジネス、電気通信など欧米と変わらぬ先端産業の展開のなかで、欧米の競争法の課題と変わらぬ先端的課題を東アジア競争法の課題とし始めている。東アジア競争法は、競争的市場経済の歴史的障害の除去という固有の課題を抱えつつ、先端産業に対する競争法の現代的な課題とを引き受けている。その展開は不均等で、まだ帰結は見えないが、競争法の新しい地平が確実に開かれつつある。
権威主義体制と市場を媒介する法と政治--中国的メカニズムの解明
研究課題/領域番号:22243001 2010年4月 - 2015年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
鈴木 賢, 高見澤 磨, 石塚 迅, 坂口 一成, 宇田川 幸則, 崔 光日, 川島 真, 石井 知章
配分額:42510000円 ( 直接経費:32700000円 、 間接経費:9810000円 )
国家と市場の間の市民社会に射照することにより、中国の権威主義的政治と市場経済という組合せが、いかなる構造によって接合されているかを解明した。民間組織は意図的に不安定な法的地位におかれ、自主的活動空間を偶然的にしか与えられず、社会は政治に飼い慣らされている。共産党が国家、市場ばかりか、社会にまで浸透し、国全体を覆い尽くす存在として君臨し続けている。
しかし、悪化する環境、労働、差別、弱者、食品安全の問題など、政治制度と経済システムの軋みは、外部不経済となって拡大し、有効な処方箋の提示が急務である。政治の民主化によるミスマッチ解消というシナリオはなお見通せず、宛てなく徘徊を続けている。
中国、ベトナム、ロシアおよび中央アジア諸国の裁判統制制度に関する比較総合研究
研究課題/領域番号:22243002 2010年4月 - 2014年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
杉浦 一孝, 鮎京 正訓, 市橋 克哉, 宇田川 幸則, 高見澤 磨, 鈴木 賢, コン テイリー, 飯 考行, 篠田 優, 阿曽 正浩, 渋谷 謙次郎, 伊藤 知義, 樹神 成, 大河内 美紀, 坂口 一成, 佐藤 史人
配分額:21320000円 ( 直接経費:16400000円 、 間接経費:4920000円 )
本研究の課題は、中国、ベトナム、ロシアおよび中央アジア諸国の裁判統制制度を歴史的に分析し、その結果を比較することであった。われわれは、裁判統制を、国または支配政党が特定の政策を実現するため、直接であれ、間接的であれ、裁判を統制しようとする国の立法機関、行政機関または司法機関の担い手や支配政党の有力者の活動ととらえ、その制度として、裁判官の人事制度、監督審制度、最高裁判所の法令適用指針制度、裁判所の予算制度および裁判統制のその他の制度を取り上げ、これらの制度が裁判統制の手段として機能していることを明らかにした。
漢字文化圏法令データベースの構築を通した比較法研究基盤の確立
研究課題/領域番号:20240024 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
松浦 好治, 宇田川 幸則, 外山 勝彦, 姜 東局, 小川 泰弘, 鈴木 賢, 樋口 範雄, 岡 克彦, 角田 篤泰
配分額:50570000円 ( 直接経費:38900000円 、 間接経費:11670000円 )
(1)Bilingual KWICを用いて中-英対訳の台湾法データベース(DB)の開発を中正大学と推進、暫定版を公開。韓-英対訳の韓国法DBは、韓国政府と共同で暫定版を構築。これにより、漢字文化圏の法概念を英訳を介し対比、異同を検討するための研究基盤を構築。(2)戦後占領期の英文官報の電子化を進め、画像を公開。検索可能な対訳文字情報とする作業を進めた。日本法外国語訳DBシステム搭載の標準翻訳辞書の充実へ活用する。(3)法令データは、立法過程の最終生産物であるため、法令起案から立法審議、公布、改正全体を情報技術的に処理し、法令DBへの統合を目指す研究を推進。(4)比較法研究には、法令に加え、対象国に関する情報収集をする必要がある。立法の社会的背景、歴史的動きなど、重要と思われる情報群の洗い出しを行い、簡潔な注釈にまとめる作業を推進した。(5)日本法の基本概念は外国法の翻訳に影響をうけているため、明治期の翻訳データを電子化し、訳語の変化を追跡する研究を行った。ボアソナード草案画像を公開し、旧民法から新民法への移行に関する議事録情報も電子化、条文に関連づける研究を行った。
権威主義的政治システムの民主化と法変動の相互関係――台湾の場合
研究課題/領域番号:20653001 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
鈴木 賢
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
本年度は3年間にわたる本研究の締めくくりの年であり、幸い2010年10月から半年間、職場からサバティカル休暇を与えられたため、そのほとんどの期間を国立台湾大学法律学院に滞在し、研究を効率的に進めることができた。本研究に関して具体的には以下のような実績を得た。(1)司法制度や訴訟制度改革、刑事取り調べ過程の可視化、刑事取引制度導入をめぐる議論、制度の詳細、その導入後の運用実態、効果とメリット、デメリット、他の方面への影響などにつき、資料収集を行うとともに、以下の実務家、研究者に対してヒヤリング調査を行った。司法院大法官(蔡清遊)、司法院刑事庭(林俊益庭長)、板橋地方検察署(蔡碧玉署長)、民間司法改革基金会(林正峰執行長、弁護士)、顧立雄弁護士(萬国法律事務所)、王兆鵬・台湾大学法律学院教授、陳運財・東海大学法学院教授。(2)大法官会議における憲法解釈の実情につき、元大法官の廖義男(現世新大学教授)氏および学者出身の現役大法官である李振山、陳春生氏に対してインタビューを行い、大法官会議の具体的な運用実態につき調査を行った。(3)以下のように台湾各地の大学で研究成果について講演する機会を得て、各大学の研究者、院生と議論をすることにより、研究成果の検証を図った。台湾大学、淡江大学、輔仁大学(以上、台北)、東海大学、中興大学、静宜大学(以上、台中)、高雄大学、中山大学、中正大学(以上、高雄)の各法学院など。(4)研究を総括するための論文執筆の準備を進めるとともに、台湾法史に関する定番的な概説書である王泰升『台湾法律史概論』(元照出版、2009年)を邦訳し、日本で出版する作業を進めた。後者は北大出版会から2011年度中には出版される見込みである。
ポーランドにおける放送メディアの法的研究-体制転換の位相と型の比較
研究課題/領域番号:20530004 2008年 - 2010年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
小森田 秋夫, 阿曽 正浩, 鈴木 賢
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
ポーランドの公共放送は、国庫を唯一の株主とする株式会社の形態をとっている。社会の中に存在する多様な意見を放送に反映するという多元主義的アプローチにもとついて制度設計されているが、諸政党が人事権をつうじて番組に対する影響力を分有するという帰結がもたらされており、その「政治化」が批判の対象となっている。一方、とくに公共テレビは広告収入に大きく依存し、もうひとつの収入源である受信料の納入率は低下する一方となっていることから、「商業化」という問題も生じている。近年、このような危機的状況を克服するために、新たな制度的コンセプトが模索されているが、なお部分的な解決にとどまっている。
中国における民間セクターをめぐる法と政治
研究課題/領域番号:19330003 2007年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木 賢, 高見澤 磨, 宇田川 幸則, 崔 光日, 石井 知章, 坂口 一成, 崔 光日
配分額:14170000円 ( 直接経費:10900000円 、 間接経費:3270000円 )
2009年段階で正式に登記された社会組織は43万1069団体(うち社会団体23万7847、民営非企業事業体19 万479、基金会1843)に上るが、これを遙かに上回る未登記の団体が闇で活動しており、不安定な法的状態にある。設立に当たっての業務主管部門での設立許可と民政部門における登記という二重の管理体制を取ることにより、法人格取得へのハードルを高くしていることがその背景にある。結社については「許されていないことは、禁止される」というのが実態であり、憲法の結社の自由規定とは裏腹に「結社禁止」が原則となっている。目下、社会団体法制の整備に向けて議論が続いているが、いかに社会団体の活性化を図りつつ、他方でその反体制化を避けるべく上からの政治的統制も緩めないという二律背反を具体的な制度に表現するかは容易な課題ではない。厳しい法制環境、共産党組織による統制のなかでもすでに民間団体は、市場経済化のなかで多元化しつつある利益の調整機能、社会の自律調整機能、行政には困難なサービス提供機能、ある種の政治的「参加」機能、社会的公益機能を果たすことによって、政治の民主化を欠く中国で一種の緊張放散的効果をもたらしている。
構造調整をふまえた東アジア経済法の新段階へ:共同体を先取りするモデル競争法の提言
研究課題/領域番号:18203004 2006年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
稗貫 俊文, 鈴木 賢, 向田 直範, 瀬領 慎吾, 中山 武憲, 栗田 誠, 須網 隆夫, 和田 健夫, 今井 弘道, 厚谷 襄児
配分額:44720000円 ( 直接経費:34400000円 、 間接経費:10320000円 )
東アジアの共通競争法は、当面は、行政権優位の競争法が相応しい。行政権が競争制限に関与する度合いが大きいので、それを規制する行政当局は、独立性よりも、強い実行力が求められるべきである。さらに、競争法のグローバルスタンダードはカルテル規制と市場支配的地位の濫用規制、企業結合規制という3本柱であるが、東アジアでは、不公正な取引方法、不公正な競争方法の規制に力を入れ、市場支配的地位の濫用規制に力を入れるべきである。
<法のクレオール>と主体的法形成の研究
研究課題/領域番号:17103001 2005年 - 2009年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S)
長谷川 晃, 松村 良之, 今井 弘道, 鈴木 賢, 田口 正樹, 水野 浩二, 齋藤 哲志, 中村 民雄, 尾崎 一郎, 会澤 恒, 林田 清明, 桑原 朝子
配分額:65910000円 ( 直接経費:50700000円 、 間接経費:15210000円 )
本研究の目的は、異なる法体系の間の遭遇/浸透/変成における連鎖的秩序形成過程を主体的で不断の法創造たる<法のクレオール>として捉え、その有り様について価値的、行為的、思想=制度的、そして統合的という4つの問題次元の協働状態からなる法動態の多次元的相互作用を示す統合モデルを構想しつつ、様々な歴史・制度的事例において相同性を有する主体的法形成の諸要素・条件の動態比較的な理論分析と実証を行うことであった。そして5年間の研究期間の後に、そこでは<法のクレオール>の一般的モデルとして、法的主体化~法的変成~法的混合という3つのクレオール過程を一方の軸とし、他方でそれらの過程が人々の解釈的活動主体性という動因によって展開されるという動的な枠組みが析出され、これを基礎として、特に法的変成における価値的次元、行為的次元、および思想=制度的次元(東アジア・西欧・北米・日本)について、それぞれの法的問題状況の相異-すなわち、支配-抵抗関係における法的抑圧状況、侵略-対抗関係における法的圧迫状況、そして拡張-継受関係における法的流入状況-に応じて<法のクレオール>のモードが変化することが証示された。
このような成果は、従前の法学研究にはない斬新な動的視点から異なる法体系の間の普遍的な相互影響・形成作用を明らかにするものであり、まもなく論文集『異法融合とその諸相』(仮題)として公刊される運びとなっている。また、この研究過程では、国内外の関連研究者間の研究ネットワークの創出、関連文献資料アーカイヴの整備も行われ、国内・国外を通じて新たな研究領域たる<法クレオール>論のフォーラムが築かれることとなった。
「東アジア共通法」の模索のための比較法文化論的研究--「法曹法」的法形成を焦点に
研究課題/領域番号:16330002 2004年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
今井 弘道, 鈴木 敬夫, 安田 信之, 岡 克彦, 國分 典子, 鈴木 賢
配分額:13400000円 ( 直接経費:13400000円 )
16年度は、このプロジェクトを中心として、第五回東アジア法哲学シンポジウムを開催した(9月・札幌)。これはすでに何回も報告した通りであるが、日本国内からの参加者を始め、中国、各国、台湾その他を含めて100人を優に超える参加者があった、その中で、2006年には台湾で、第6回大会を行うこと、併せてそれを東アジア法哲学会の発会大会とすることが決議され、準備委員長として、本プロジェクトの代表者である今井が選出された。
17年度は、上記第六回東アジア法哲学シンポジウム/東アジア法哲学会の発会大会が、行われた(主催・台湾大学、3月・台北)。中国、韓国、台湾その他を含めて150人を超える参加者があった。そこで、今井が理事長に選出された。これで、このプロジェクトで目標としてきた東アジアの法哲学の共同研究体制は基本的には完成し、大きな可能性が保障されることになった。
18年度は、北京大学法学院から朱蘇力・張騏両教授を招待し、シンポジウム《中国における「生ける法」と「司法」を通しての法形成の可能性》を、名古屋大学と北海道大学で共催した。また上海政法学院教授の倪正茂教授を招いて「上海における住民運動と市民的法文化」とシンポジウムを行った。個々の成果については別記する。
アジア法研究の方法と理論の探求:日本発アジア法研究の枠組み形成に向けた企画調査
研究課題/領域番号:16633001 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
鈴木 賢, 稲 正樹, 孝忠 延夫, 安田 信之, 吾郷 眞一, 鮎京 正訓
配分額:3300000円 ( 直接経費:3300000円 )
アジア法学会(安田信之・名古屋大学教授・代表理事)の理事会、事務局、運営委員などの執行部を中心メンバーとして、科学研究費補助金特定領域研究「日本発アジア法研究の構築」(鈴木賢・北海道大学教授・領域代表、略称・日本発アジア法)を平成17年度から発足させるべく、そのための申請調書を70部作成し、2004年11月、文部科学省に申請を行った。
同プロジェクトは各班の研究代表からなる総括班のほかに、方法論、法領域、国別・地域別法という3つのカテゴリーのもとに、合計13の研究班を設け、総勢55名(研究分担者)の研究者を全国から組織して取り組まれることとなった。これは発足したばかりのアジア法学会が関連分野の研究者の協力を得て、学会を挙げて取り組むもので、明治以来の日本の法学がもっていた欧米中心主義をラディカルに反省し、日本から世界に向けてアジアの法を理論的、実証的に提示しようとする野心的な試みである。このプロジェクトを立ち上げるために、2004年6月のアジア法学会(東京)、同年7月30日の小樽商科大学での打ち合わせ会議、同年11月のアジア法学会(東京)、2005年3月5日の長崎での打ち合わせ会議を開催したほか、日常的には電子メール、電話、FAXなどにより連絡を取り合い、申請調書の作成を進めた。また、アジア法学会のニューズレターの発行、パンフレットの発行準備を進め、ホームページをリニューアルさせ、プロジェクトが採択されれば、すぐに研究をスタートさせられる体勢作りを行った。
東アジアにおける司法の機能変容と法曹養成制度改革--中・台・韓との実態比較調査
研究課題/領域番号:15252005 2003年 - 2006年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
鈴木 賢, 木間 正道, 高見澤 磨, 宇田川 幸則, 岡 克彦, 崔 光日, 西 英昭, 崔 光日
配分額:28210000円 ( 直接経費:21700000円 、 間接経費:6510000円 )
本研究では東アジアの3国(韓国、台湾、中国)における司法機能の変容とそれが法曹養成制度にいかなるインパクトを及ぼしているかについて、現地での関係機関へのヒヤリング、文献調査によって明らかにし、とくに日本型ロースクールが具体的にどのような影響を与え、いかなる方向に改革されようとしているかを展望しようとするものであった。その結果、以下のような成果を得た。
1)韓国について。韓国では日本に先んじてロースクール構想が提唱されながら、法曹界、法学教育界からの反対により実現してこなかった。しかし、日本の改革の急展開を受けて韓国型のロースクール制度の導入が決められた。その特徴は最終的な司法試験の合格者から逆算してロースクール設置大学の数と定員を定め、ロースクール設置校は既存の法学部を廃止するというものである。法案審議の段階でまだ最終的調整がつかず、実現に至っていない。2)台湾について。台湾でも法曹の量の拡大と質の向上が焦眉の課題と認識され、法曹養成制度の改革が議論されてきた。2005年後半から日本型のロースクールを導入するプランが急浮上し、法務部や教育部はその方針を決定したと伝えられた。最終段階に入り、大学から一斉に反対の声が上がり、構想は宙に浮いている。しかし、大学院段階に実務家養成の課程が必要であるという点ではほぼコンセンサスができている。3)中国について。統一司法試験の導入後、必ずしち順調に法曹の質の向上にはつながっていないし、むしろ辺彊地区での法曹不足が深刻になっていることがわかった。裁判の独立から裁判官の独立原則への移行も順調には進んでいないし、裁判の独立を侵す裁判委員会、法院内部の照会制度、党の政法委員会について議論は起きているが、なおこれらが短期間に解消する見込みはない。
台湾における民主化と社会変容にともなう法変動に関する研究
研究課題/領域番号:14652001 2002年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
鈴木 賢
配分額:3600000円 ( 直接経費:3600000円 )
(1)日本国内での資料収集、資料解読、分析作業を継続するとともに、台湾を訪問し台湾大学法律学院、政治大学法学院、東呉大学法学院などでヒヤリング、ワークショップを開催し、台湾の民主化と法変動に関して情報収集し、あわせて意見交換を行った。最近の大胆な改革措置が実現する政治プロセス、学界での議論について日本との比較の視角から考察した。とくに刑事訴訟の基本的枠組みの当事者主義化(いわゆる交互尋問方式)、取り調べ過程の透明化(取り調べ過程の録音義務化、弁護士の立ち会い権保障など)にむけた法改正、実務の変動を重点的に検討した。成果はすでに「法学セミナー」2004年11月号の特集「韓国・台湾の司法改革に学ぶ」に一部を公表し、本格的な論説を準備している。台湾の改革のテンポは大胆で、日本にとっても参考になる点が多く、日本の学界でも注目を集めている。
(2)最近、台湾で開催されるようになった中国大陸の学者との両岸法学シンポジウムに2回参加し、中国語圏の学者間で対話がいかに進められているか、相互にいかなる影響を与えあっているかについて実地に見聞した。中国大陸から戦後、移転した台湾東呉大学法学院では積極的に中国との交流を続けているが、シンポジウムを開催する度に、出席の機会を与えてくれるようになり、台湾での両岸接触という貴重な場面に立ち会うことができるようになっている。今年度は民法典編纂にともなう問題、法学教育の改革についてシンポジウムが開かれ、議論に参加した。
文化のクレオールと法の構造化-<比較法形成論>の探究とその深化-
研究課題/領域番号:14320001 2002年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
会澤 恒, 長谷川 晃, 尾崎 一郎, 鈴木 賢, 田口 正樹, 桑原 朝子
配分額:10000000円 ( 直接経費:10000000円 )
本研究においては、平成14年度は研究の第1ステージとして各問題次元に即して文献や資料を整理し、着眼点の絞り込みを行った。15年度は研究の第2ステージとして、文化のクレオールと法の構造化の過程の一般的パタンを各問題次元ごとに立体的に分析した。そして16年度は各次元での研究の全体的な統合を試みた。
価値的次元に関しては、価値の移植のプロセスの意義と憲法体制のあり方をめぐって、文化のクレオールと法の構造化における「社会につながれた批判者」の役割とそれに媒介された価値の浸透=変成のプロセスを解明した。社会的次元に関しては、国家の法理念と社会の法文化のギャップという制度/社会構造依存的因子を把握し、特に「帝国」への抵抗が自閉的自己称揚に陥る過程を検討して、法の相互浸透の阻害条件を解明した。歴史・制度的次元においては、まずアジアに関して、東アジア法系の成立可能性について考察し、特に中国における連続的、段階的な違いの連鎖として物事をとらえるグラデーション文化とその西洋法文化への接合状況を解明した。またヨーロッパに関しては、中世後期ドイツの都市内外における法規範と社会の相互作用を中心として、特にカール5世刑事裁判令の制定過程と中小貴族層との関係を調査し、貴族の利害関心の役割を解明した。さらにアメリカに関しては、アメリカ社会・政治制度の根幹である自由・人権の再定義のプロセスを考察し、宗教に影響されたアメリカ社会における法の支配の理念のコンセンサスの意義を解明した。最後に日本に関しては、中国からの律令受容が深化した平安前期に焦点を当て、法の担い手として活躍した文人貴族の意識構造を探り、古代の明法家による律令条文の注釈が日本の法と社会を変容させてゆく過程を解明した。
わが国の私法史からみた東アジア法圏における法発展
研究課題/領域番号:13420011 2001年 - 2004年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
松久 三四彦, 大塚 龍児, 吉田 克己, 小川 浩三, 藤原 正則, 鈴木 賢
配分額:7500000円 ( 直接経費:7500000円 )
本研究の目的は、ヨーロッパ法を最初に継受したわが国の民法典(商法典)の影響を受けて、東アジア各国の民法典が発展してきた事実と、その相互関係などを総合的に分析し、東アジア諸国(わが国、台湾、韓国、中国、(満州国))の法の共通性と東アジア法圏の成立の可能性を探ろうとするものである。
本研究からの帰結として、以下のように要約できよう。
(1)韓国民法は戦前からの連続性で、わが国の強い影響を現在も受け続けている。他方で、戦後はドイツ法の影響も強く受けている。最近の韓国民法典の改正作業においても、この点は顕著にあらわれている。
(2)韓国の会社法の改正についても、一応の概観を行った。
(3)不当利得法に関しては、中華民国法典、満州国法典、現在の台湾法、韓国法について、西洋法特にドイツ法の継受とわが国の学説・判例の影響を一応明らかにした。結論は、韓国法は、満州国法典を通って、日本法への先祖還り、他は日本法の継受の上にドイツ法、スイス法を上塗りしたものである。
(4)相続法に関しては主に台湾を取り上げた。結論は、わが国の学説、ドイツ法の遺産合有と遺産分割の役割の大きさである。法典自体はわが国と類似する国で、わが国の最近の少数説との連続性が看取される点が、比較法的に興味深い。
(5)不法行為、特に人身損害賠償に関しては、韓国法の検討を中心とした。結論は社会保障学の役割の違いゆえの差異を除いては、時期をずらした日本法の直接的な継受である。
(6)以上の各論をつきあわせて、東アジア法全体を見ると、法典の整備されている法体系の継受は優越的であるのは当然であるということである。将来はヨーロッパの比較法でも東アジア法の下で、中国、韓国、台湾、日本の分類が出来るであろう。
中国における国家機構制度再編の論理と構造に関する研究
研究課題/領域番号:12572007 2000年 - 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木 賢, 高見澤 磨, 通山 昭治, 木間 正道, 宇田川 幸則
配分額:13600000円 ( 直接経費:13600000円 )
(1)中国の国家機構再編の論理と進展状況を調査するため、中国の6都市で立法機関、行政機関(中央、地方)、裁判所、検察機関、大学・研究所などを訪問し、ヒヤリングを行った。研究チームの構成員はすべて現地の言葉に通じていることから、通訳を介さずに直接、効率的かつ正確に聞き取り調査を行うことができた。
(2)ヒヤリングで得られた知見は、以下の通りである。1)一党制レジームを維持するという前提のもと、市場経済に即応した小さな政府の実現をめざして、急ピツチで行政機構のスリム化、権限の再編・縮小、ドラスティックな人員削減(約半減)が進んでいる。ただし、地方の末端での改革がどの程度進展しているかは必ずしも明らかとはならなかった。2)沿岸部大都市の裁判所、検察機関では裁判官、検察官の資質向上がはかられ、司法の独立を担う専門家集団が形成されつつある。裁判所では裁判の正統性の確保に腐心していることが分かった。検察機関ではソ連式の一般監督への回帰も模索されるなど、改革の論理は複雑に錯綜している。他方、西部の地方都市では人材確保に苦労し、改革を進める主体が確保されていない。3)大学法学部にも実務家養成を担うことをねらった新しい大学院修士課程が設置され、卒業生を送り出そうとしている。2002年から始まった司法試験の受験資格が学部卒業とされたことと相まって、大学が法曹養成にこれまで以上にコミットすることになろう。4)総じて、国家機構再編の作業はまだ緒についたばかりで、制度として安定するには数年を要するであろう。
(3)現地調査は海外研究協力者の手配により順調に進められ、各地の実務家、研究者との間に緊密なネットワークが形成された。これにより随時、新しい情報や資料の提供を受けうる体制が整えられた。今後の継続的な研究に大きなメリットとなるであろう。
東アジア法文化の現況と未来-「アジア的価値」と近代西欧法の対立に即して-
研究課題/領域番号:12420001 2000年 - 2002年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
今井 弘道, 岡 克彦, 安田 信之, 鈴木 敬夫, 鈴木 賢, 國分 典子, 中村 睦男
配分額:15500000円 ( 直接経費:15500000円 )
1.東アジア法に現代の基礎法学的観点からアプローチする包括的視点として、「東アジア共通法の可能性」という観点-それは、当然ながらその「不可能性」という視角を包括する-が最適なものであろうという知見を得た。そしてそれは、数度にわたる国際研究集会で議論を重ねる中で、プロジェクト内の基本的コンセンサスとなった。この観点は、(1)過去的には、比較法史的・比較法思想史的論点を含むと同時に、(2)現在的には、東アジアとヨーロッパとの比較文化論的観点をも含んでいる。そして(3)未来的には、EUとの対比おいて東アジアのリージョナリズム問題を展望していく視点を提供してくれる。2.本プロジェクトは当初、日韓の研究者による共同研究としてスタートしたが、3年間の研究期間を通じて、共同研究の枠組みを中国(北京大学、中国社会科学院法学研究所、上海大学)、台湾(台湾大学)へも拡大し、東アジアの主要国に研究者のネットワークを構築するに至った。とくに平成14年度にはほぼ同じテーマで、我々の研究チームを核として、それぞれの国の新たな研究者、実務家へとネットワークを広げつつ、上海、ソウル、札幌において連続して研究会を開催し、問題意識の共有に成功した。3.これまでの研究者だけのネットワークに、韓国では公正去来委員会(公正取引委員会)の委員や幹部が実践的関心をもって参加するようになり、今後はその輪を中国や台湾へも広げてゆくことが確認された理論的な研究としてスタートしたプロジェクトに、東アジア共通法探求をもっとも語りやすい法領域である経済法関係の実務家が加わることで、現実社会との切り結びを得た。4.以上を要約すれば、グローバリズムの時代における「東アジア共通法の探求」に焦点を絞り、問題意識を共通する各国の研究者、実務家との共同討論のもとで、このプロジェクトを今後さらに発展、深化、具体化させる基礎が築かれた。
台湾における西洋法受容百年史の研究
研究課題/領域番号:12872001 2000年 - 2001年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽的研究
鈴木 賢
配分額:2100000円 ( 直接経費:2100000円 )
I.2001年8月3日〜9日、勤務先と交流協定を結んでいる国立台湾大学法律学院を拠点として、ヒヤリング、資料収集、情報交換を行った。近時、急速に進展しつつある司法制度改革のうち、法曹のあり方について統計資料、改革にむけた動向、提言についての文献を収集した。台湾でもここ数年、急速に弁護士や司法官(裁判官、検察官)の数を増やしており、社会における司法の役割を拡大しようとしていることを確認した。また、台湾大学教授で司法制度改革をリードしている邱聯恭教授にインタビューし、1999年に出された司法改革行動計画のその後の実施状況、直面する問題などにつき情報を得た。台湾でも民主化の総仕上げとして、司法改革が熱心に取り組まれているが、日本とも共通する点が多く、非西洋法国における近代化の比較につき知見を深めることができた。II.国内でも台湾法に関する網羅的な基本的な文献の収集につとめた。日本では台湾法に関する研究がこれまでほとんどなされていなかったが、この研究を通じて台湾法研究の基本的文献を北海道大学に備えることができたのは、今後の研究に礎をすえたものといえる。III.2002年1月18日、香港城市大学において開催された「第4回東アジア法哲学シンポジウム」全体会議で、「東アジア法系の成立可能性について」というテーマで報告し、参加者と討論を行った。報告には台湾、中国の学者から多くの質問が提起され、広く関心を集めることができた。これは台湾法の東アジアにおける位置を中心とするもので、本研究の主要な成果である。さらに成果の一応のまとめとして、西洋流の司法制度が台湾社会にどのように根付いて、機能しているのかについて論文の執筆を進めている。本稿は比較法学会の会員を中心に進めている『法曹の法社会学』(広渡清吾編、東京大学出版会)に掲載する予定である。
中国の市場経済化に伴う民事裁判制度のパラダイム転換に関する研究
研究課題/領域番号:10720001 1998年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
鈴木 賢
配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )
中国において進行しつつある民事裁判の手法を抜本的に改革する動きについて、引き続き研究を進めた。改革が行われる背景・動機、改革が行われる以前の実態、改革の論理・進歩状況、改革を阻む要因、今後の方向性・着地点、理論的意味づけ、法文化と関連させた考察などに関して論文を脱稿した。「中国における市場化による『司法』の析出-法院の実態、改革、変容の諸相-」として小森田秋夫編『市場経済化の法社会学』(有信堂)に収録されて、2000年中には出版の見込みである。さらに今年度は、台湾大学法学院において中国大陸法研究の台湾における第一人者である王泰銓教授の指導を受けながら、台湾における中国司法制度研究の動向ついて資料を収集し、台湾大学、政治大学、中国文化大学などの研究者からレビューを受けたりした。また、台湾での中国大陸との交流の窓口である「海峡交流基金会」での中国法セミナーに出席し、討論に加わった。3月には(財)平和基金会(李明峻主任)でも、中国司法改革について意見交換し、台湾でも進みつつある司法改革との比較研究を行った。
以上のような作業を通じて、これまで中国大陸からの視点に偏っていた知見に、同じ漢民族でありながら、日本植民地支配を経験し、その後の国民党資本主義体制の元で、西洋法化が格段に進んだ台湾人の視角を付加することができ、事態をより立体的に捉えることができるようになった。台湾の民事訴訟学者は中国大陸には、立証に失敗したときのリスク配分という意味での挙証責任という問題が存在していないということを理解していること知り、自説の正当性に自信を深めることができた。総じて、今期はこれまでの一応の成果を論文にまとめることができ、加えてこの研究課題を次の発展につなげるために大いに視野を拡大することができた。
経済発展と法意識・法制度の相互関係の研究―日本と韓国の比較研究を通して―
研究課題/領域番号:09420001 1997年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
今井 弘道, 安田 信之, 中村 睦男, 鈴木 敬夫, 厚谷 襄兒, 稗貫 俊文, 鈴木 賢
配分額:10600000円 ( 直接経費:10600000円 )
法意識・法制度はその国の歴史、思想・文化、伝統、経済などの影響をうける。1997年末に突如韓国を襲った経済危機は、韓国社会に深刻な危機意識をもたらし、経済にかかわる法制度の大きな改革を次々と生み出した。改革の方向は、韓国の対外的な市場開放と市場原理の重視であり、その内容は、株式会社法、証券取引法、公正去来法、労働法の改正を中心とし、その対象はコングロマリッドとその政官癒着にほかならない。
進行中の経済構造改革は、韓国経済のグローバル化と市場原理の浸透をもたらし、伝統的な法意識による取引慣行と官民癒着は維持できなくなるだろう。もしそのとき、アジア的な価値が存続するとしても、それは守旧的な反市場主義や反グローバル主義の再生であってはなるまい。人間の尊厳という観点からは、市場原理の過酷さよりもマシだとは言えないからである。地縁、血縁によるネポチズムが生み出す庇護は不公正・不透明で、やがて社会のモラル全体を腐敗させるであろう。そうした意味でアジア的価値を捉えるとすれば、その正当性は疑わしく、またその存続に要する社会的コストは負担の限界を超える。
他方、市場原理の受容を前提に、運と能力をもつ者が、機会における公平と事業活動における自由を得て活動できる社会は、極端に言えば、飽くなき金銭欲と支配欲に取り憑かれた、狡猾な能力と運をもつ者だけが経済を支配する社会へと人々を導く。それゆえそれが自由で公正な競争を通じて行われるように監視・誘導しなければならない。しかし、自由で公正な競争も、帰結において、貧富の差の拡大、過酷な能力主義をもたらしてしまうことは否定できない。かかる帰結を克服するためにこそ、アジア的共同体的な価値の再生が考えられる。具体的にはアジア的価値の「友愛」としての再生が求められ、高いモラルの社会の建設が希求される。
東アジア文化と近代法―日本と韓国の比較研究を通して―
研究課題/領域番号:09044019 1997年 - 1999年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
今井 弘道, 安田 信之, 中村 睦男, 鈴木 賢, 厚谷 襄兒, 稗貫 俊文, 梁 承斗, 金 哲洙
配分額:12900000円 ( 直接経費:12900000円 )
今まで、本研究会で報告された諸論文に通底する観点は、グローバリズムの潮流が支配する国際社会のなかにあって、日韓それぞれが自らの文化的・国家的なアイデンティティをいかにして保持するのかを法哲学あるいは経済法という切り口から摸索することであった。経済法研究班では、韓国の経済法が近時、対財閥規制の競争法として機能していることを明らかにした。韓国が97年の経済危機を回避すべくIMFから経済支援を受けると共に、抜本的な経済構造の改革を半ば強制的に強いられた。同法では、大規模企業集団(財閥)の同族的会杜支配と前近代的な取引慣行がその規制の対象となった。だが、そうした韓国経済の体質は儒教的な家族制度と地縁的な集団主義に基づいており、単純にアメリカを中心とした西欧標準に向かうことは期待できない。そこには、制度的な次元だけではなく、法哲学的に重大な問題性が潜んでいた。すなわち、韓国はWTO体制の下で貿易と資本の自由化に向かうほかにないとしても、その移行は、一方で伝統的な文化を負と捉えてそれを解体した上で、より普遍的な基準にしたがってなされるべきなのか、それとも逆に伝統文化を積極的に捉え直して独自の競争原理を作り上げるべきなのかというアンビヴァレントな課題である。日本でも現に同様な課題に直面している。
法哲学班では、この課題を単に二者択一的に捉えるのではなく、この課題が表出せざるを得ない日韓の法文化的な要因を解明しようとした。こうした作業を通じて<西欧普遍主義〉と<アジア的価値>を共に相対化しつつ、東アジアにおいて<ポスト近代>を脱構築しうる可能性を見出したのである。この知見は、日韓の法文化を考察するに当たって、法意識や法哲学といった基礎的な領域だけでなく、敢えて経済法という法制度をも具体的な視野に取り込んだことにより得られた成果でもある。
中国における脱社会主義過程の法の構造的変動に関する研究
研究課題/領域番号:08720001 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
鈴木 賢
配分額:1100000円 ( 直接経費:1100000円 )
予定していた裁判の独立をめぐる理論と現実の分析と、社会保障法の変容・改革の分析の二つの領域につき、それぞれ以下のような実績を得た。前者についてはここ1〜2年の現実の急激な変動の大きさを消化しきれず、論文の形で成果を公表するには至らなかったが、資料収集・整理の面で長足の進展をみた。新たに制定された弁護士法、裁判官法、検察官法、刑事訴訟法などの概要、理論面での変動について、多くの情報を収集することができた。人民法院の建国以来の歴史的変遷を踏まえて、少なくとも3編の論文にまとめるべく、情報の整理、論文構想の段階に入っている。後者については、96年度の比較法学会社会主義法部会で成果の一端を報告し(「比較法研究」に要旨を公表予定)、高齢者問題を中心にして年金、医療、介護を支えるコミュニティサービスなどについて、変動の論理と概要をまとめた論考を脱稿した(97年6月刊行予定)。単位(職場)が丸がかえしていた社会保障機能をいかに社会化してゆくかが、この国の将来を強く規定するだけあって、慎重かつ弾力的に改革は進行している。基本的には国家の負担を最少限に抑え、個人や企業にその肩代わりを求めようとするもので、自助努力の強調が基調となっていることが判明した。
両領域ともいまだに変動のさなかにあり、中期的には今後もその動向を追跡することが求められている。法制度のコアをなす裁判制度の変革と、国有企業の生き残り(言い換えれば社会主義の生き残り)を賭けた社会保証制度の改革は、ともに中国社会の質を決定づけるカギとなる重要問題であり、今年度の研究で得られた成果をさらに発展させることが今後の課題となる。
東アジア文化と近代法--日本と韓国の比較研究を通して--
研究課題/領域番号:07044022 1995年 - 1996年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際学術研究
今井 弘道, 朴 吉俊, 実方 謙二, 厚谷 襄兒, 孫 珠ちゃん, 徐 元宇, 韓 堅愚, 安田 信之, 梁 承斗, 向田 直範, 稗貫 俊文, 鮎京 正訓, 中村 睦男, 鈴木 賢, 五十嵐 清, 千葉 正士, 金 昌禄, 沈 在宇, 崔 鐘庫, 金 哲洙, 鈴木 敬夫, 和田 健夫, 金 賛鎭
配分額:9900000円 ( 直接経費:9900000円 )
本プロジェクトの基本的課題は、日本と韓国の法文化について、それぞれと西欧法文化との関連を念頭に置きつつ、(1)法哲学的・法思想史的・国家学(憲法学)的観点から比較研究を展開すること(法哲学班)、及び(2)経済法的、とりわけ独禁法的・公正取引法的な観点から、比較法学的な研究を展開すること(経済法班)にある。
まず、(2)の経済法班から研究実績の概要について見よう。当初、五年前から法哲学班だけで行なわれていた本プロジェクトに、経済法班は、二年前に新たに参加した。この二年間で、合計四次にわたる共同研究会が行なわれたが、その中で基本的な問題意識が共有されるに至り、研究発表に伴う議論が、漸次スムースなものとなってきた。具体的な業績は、別掲の諸論文を御参看願うこととしてそれに言及することを省略し、ここでは、基本的な問題について、一言しておくことにしたいと思う。
日本と韓国の公正取引法は、条文の上からは、極めて親縁的な関係にある。しかし、それの具体的運用や実際的機能については、意外な程大きな差がある。このことにわれわれは、共同研究の中で改めて強く印象づけられた。この差が生じる所以は、法と現実の接触するいわば「法文化」のあり方に求めることができ、そしてこの次元の問題に関しては、法律や文献上の知見だけでは察知することのできない複雑・微妙なものである。そしてとりわけ、何よりも痛感されたことは、自国における法の運用や機能は、視野を自国だけに、あるいは外国の文献だけに限定している時には浮上してこないこのような「法文化」のあり方からくるこのような差異が決定的ともいうべき意味をもつということである。われわれは、このような事情に触発されて、一方では広い比較法文化的な視野を獲得していくとともに、他方ではまた比較法文化的な視野を経済法的な諸現象によってより具体的なもの、豊かなものにしていきながら、本プロジェクトを進めていく必要性を痛感している。そして現在、実際にそのような方向性へと向かうべく、準備しつつある。このような基礎視角の獲得こそは、今後の本プロジェクトのあり方に関わる、大きな成果・業績だといってよいのではあるまいか。
法哲学班は、これまでの過去五年間の共同研究において、日本と韓国の法文化について、それぞれと西欧法文化との関連を念頭に置きつつ、法哲学的・法思想史的・国家学(憲法学)的に比較研究を展開することを課題としてきたが、それに関して、昨年非常に大きな具体的成果を収めた。ここではそれを中心に述べておく。
1996年10月10日および10月12日の二日間、日本法哲学会およびIVR(国際法哲学社会哲学会連合)日本支部の主催、財団法人社会科学国際交流江草基金の後援で「第一回アジア法哲学シンポジウム」が開催されて、多大の成果を収めた(詳細は、今井弘道「アジア法哲学の課題と展望--『第一回アジア法哲学シンポジウム』を終えて」(ジュリスト、No.1117,1997年3月1日号を参照のこと)。これは、実は、本プロジェクトのこれまでの五年間の研究成果を踏まえて、本プロジェクトの代表者である今井弘道が、日本法哲学会及びIVR日本支部を動かし、自らその組織委員長として企画・組織・実現したものであった。このような事情から、このシンポジウムにおいては、本プロジェクトのメンバーからは、基調報告をも行った今井の他に、報告者として、金昌禄、コメンテーターとして崔,鐘庫、梁,承斗、通訳者として鈴木賢、岡克彦が担った。まこその他の報告者も、本プロジェクトを介して知己を得た人が少なくない。このような意味で、このシンポジウムは、本プロジェクトの活動の成果を問うという意味をもったものであった。なお、このシンポジウムは、1998年にソウルで、本プロジェクトのメンバーであり、IVR韓国支部の理事長である梁承斗の責任の下に開催される予定である。無論、本プロジェクトは、今後の研究交流を通じて、またシンポジウムの当日において、これの成功のためにも、可能な限りの尽力をする予定でいる。今後、本プロジェクトはこの「アジア法哲学シンポジウム」の定着・発展と相互に支え合いながら、更なる発展を遂げていくことになるであろう。
東アジア文化と近代法--日本と韓国の比較研究を通して--
研究課題/領域番号:04044011 1992年 - 1994年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際学術研究
今井 弘道, 韓 堅愚, 梁 承斗, 中村 睦男, 鈴木 賢, 五十嵐 清, 千葉 正士, 沈 在宇, 崔 鐘庫, 金 哲洙, 鈴木 敬夫, 崔 鍾庫
配分額:5900000円 ( 直接経費:5900000円 )
当初に提出した研究計画で示した本プロジェクトの目的は基本的に達成した。すなわち、日韓の法文化についてそれぞれと西欧法文化との関係を念頭に置きつつ、法哲学的・法思想史的・国家学(憲法学)的に比較研究する第一歩を踏み出すことは、十分にできた。そのことは、日韓両国の本プロジェクトの構成員やその他の研究者の参加した五次にわたる共同研究およびそこでの報告を活字化して発表したものに示されている。その中で最も重要な成果と思われるのはわれわれの課題を更に具体化していく包括的方向性が新たに共有されてきたことである。細部の縷々たる報告を行うよりその点を示す方が、短文での報告としてはリアリティを有すると思われるので、以下ではその点を中心に述べる。
日韓両国が共通に継受した西欧近代法は、非西欧文明の中では十分に発達しなかった「市民社会(civil society)」の発展を背景に、キリスト教文明に支えられた職業倫理に担われて成立した近代資本主義的経済体制及びそれと相互支持の関係に立った主権国家体制の中で成立・発展したものであった。そして日韓両国の法文化の特質は、これれまではそれを範型として、それからの<遅れ>として問題化されてきた。
しかし、現在では非西欧の、とりわけ東アジア地域における資本主義的経済発展がめざましい。その中で、現在の日韓両国は一つの分岐点にさしかかっている。西欧化の道を更に進むのか、それとも自らの経済的成功を固有文化に支えられとものとみて、固有の発展方向を自覚的に辿るのかの分岐点である。これは、現在の日本を含めたアジアが自覚的に答えていく必要のある緊急の課題となっている。
この問題はいわゆる「儒教資本主義論」を包摂しえている。これまでは、ウェーバーの議論に即していえば、プロテスタンティズムの世俗的禁欲が結果的に資本主義の精神を生み出したと見る一方で、儒教の中に市民主義を生み出すエ-トスは存在しないと断定されてきた。しかし、日本や韓国が資本主義を生み出したこと、NIESの国々が次々とそれを生み出すことに成功しつつあることは否定しえない現実である。とすれば、儒教的文化の内部にも、資本主義の起動力となるエ-トスが存在したといいうる。それはいかなるものであり、いかなるメカニズムを通して資本主義形成に至ったのか。またそれはいかなる特質をもった資本主義社会を、いかなる法文化を形成していくのか。別言すれば、西欧的権利観念(法観念)とは異質の権利観念(法観念)--儒教的メンタリティー-に支えられた経済発展とそれに基礎を置く社会形成は、どのような特質をもった社会秩序形成を行いうるのか。そして、近代西欧において成立した法学的世界観・人権観がキリスト教的な宇宙観・世界観・人間観と親和的なものであったとすれば、儒教的メンタリティー-これも実は一概に概括することを許さぬヴァリエーションをもっているのだが--に領導される社会形成は、それとどのような関係に立ちうるのかが問題となるからである。この問題を<西欧に対するアジアの遅れ>といったパラダイムとは別の枠組で考える必要がある。
このような問題の解明は、<アジアの西欧との遭遇>というここ1.5世紀から2世紀にかけての歴史が<経済的水準でのアジア(の一部)の西欧への追いつき>という形で実践的・現実的に一応の総括をなされるべき段階にきていることを踏まえてなされるべきだろう。我々の研究は、この問題に踏みこんでいかなければならない。そしてこの問題を各専門領域で具体的に課題化していかなければならない。そのための基礎的作業はほぼ達成された。それを踏まえて更にこの課題への取り組みに成功すれば、我々のプロジェクトは、現代的に法律学の領域にとどまらない大きな意味をもちうるであろう。
中国における人民法院のミクロ機構と粉争解決実態の解明
研究課題/領域番号:04852001 1992年
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究(A)
鈴木 賢
配分額:800000円 ( 直接経費:800000円 )
日本における同性間の婚姻実装化に向けた立法提言ーー比較法的知見を踏まえて
研究課題/領域番号:26K00267 2026年4月 - 2029年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木 賢
配分額:14300000円 ( 直接経費:11000000円 、 間接経費:3300000円 )
比較法制度論(アジア)
機関名:明治大学法科大学院
中国法
機関名:明治大学法学部 琉球大学法科大学院 立教大学法学部
比較法
機関名:北海道大学法学部